株式投資で勝つために初心者が意識すべきは「資金管理」だ

投資ノウハウ

株式投資はギャンブルだ」、「一部の人しか儲からない」。

周りからこのようなことを聞いたことはありませんか。

残念ながら彼らのこの主張は概ね正しいと言っていいでしょう。

株式投資は世間ではまだまだ「一部の人が短期間で莫大な資産を築く」というイメージが強いです。

もしあなたもこのイメージのまま株式投資に手を出すなら、それは本当に「ギャンブル」になり、遅かれ早かれ資産を失うことになるでしょう。

株式投資で勝つためには、このイメージから抜け出し、「時間をかけて着実に資産を築いていく」という発想のもと投資を行っていくことが必要です。

では、株式投資で資産を築くにあたり初心者が意識すべきことは何でしょうか。

その答えは、資金管理です。

少々漠然としすぎる表現にも見えますが、ここでは「資金管理」の重要性について考えてみます。

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株式投資で勝つために初心者が意識すべきことは資金管理

資金管理とは、「自分の資金のうち、どれだけの額を株式に投資しているかを管理する」ことです。

「管理」という表現は「把握」に置き換えてもよいでしょう。

つまり、投資している額を常に把握し、その時々の相場の状況に応じて株の保有を増やしたり減らしたりすることです。

資金管理は株式投資のすべての基盤

”良い銘柄を選べること”が勝つための条件ではない

株式投資をする場合、多くの人は「どの銘柄を買うか」が一番重要だと考えるでしょう。

銘柄を選ばないことには株は買えないので当然ですよね。

しかし、先ほど株式投資で勝てるようになるためには「資金管理」だと言いました。どういうことでしょうか。

次の図は、株式投資で資産を築くことを植木鉢で表現したものです。

株式投資を植木鉢に例えた図
株式投資を植木鉢に例えた図

「資産(植物)」を大きくしていくには、「経験・技術(土)」が必要です。

この「経験・技術」が豊富になることで、「資産」の形成に必要な栄養たっぷりの土ができるのは間違いありません。

ファンダメンタル分析・テクニカル分析・割安成長株・バリュー株・テーマ株・低位株などなど、多くの書籍やブログで銘柄選択の手法が紹介されていることからもわかる通り、株式投資の醍醐味はこの部分だといっても過言ではないでしょう。

こういった外部環境の影響もあり、株を始めたての頃は「土」の部分ばかりに注目して、その下にある「資金管理(鉢)」の存在をあまり意識しないことが多いです。

しかし、実際には鉢の中という限られた空間(自分の資産額)の中にいるわけです。

どれだけ肥沃な養分の土を持っていても、鉢が割れてしまえば土は散らばり、根を張った植物はグラついてしまいます。

銘柄を選ぶスキルを身につけたとしても、根本にある資金管理の重要性の認識が薄ければ、せっかく実り始めた資産もいつの間にか大きく目減りしてしまう恐れがあるということです。

資産が大きく減ると、元の額まで戻るためのハードルは想像以上に高い

あなたが仮に株式投資の知識を豊富に詰め込み、一定の技術を身につけているとしましょう。あなたは自信をもってある1つの銘柄に全資金を投入しました。

しかし、運悪くこのタイミングでアメリカと中国の対立が急激に強まり、市場は警戒モードに入りました。株価はジワジワと下落に向かいますが、いずれ反転するだろうと軽く考えていたところ、最終的にアメリカに端を発した世界的な株安が訪れました。

結果、あなたの持つ銘柄の株価はこの後数日のうちに20%下がってしまいました。

この場合、全資金を投入しているわけですから、あなたの資金も数日で20%目減りしています。

資金が20%減ると、これを元の資金まで戻すには25%増やさなければなりません。

もっと極端な例を出すと、50%減ってしまった資金は、手元に残った資金を2倍にしなければ元通りにはなりません。

この2倍という数字は、凄腕のトレーダーでも1年もの時間をかけて記録するような投資パフォーマンスです。かなりハードルが高いと思っていいでしょう。

「1×0」は0、「1,000,000×0」もまた0

先ほどの例で資金が20%減った原因は”銘柄選択が悪かったから”でしょうか。

いいえ、そうではなく「市場全体が下落する中、ポジションを持ちすぎていたから。」ですよね。

仮に資金管理を特に意識することなく大成功したとしても、下落相場入りの局面で誤ったリスクを取って失敗してしまったら、途端にこれまでの儲けを失ってスタートラインまで戻ってきてしまうことは平気であります。

資金管理は、上昇相場が延々と続く場合は特に気にする必要がないように思えるときもあります。ただ、上昇相場が長いということは、「山高ければ谷深し」という格言があるように、辛い下落相場がいずれ待っていることを知っておくべきです。

初心者のうちは、こうした株安に見舞われなくとも、日々の値上がりランキングを見て何となく買った銘柄が程なくして急落し、何もわからないまま大損していたということもあるでしょう。

資金管理の考え方

「失敗しても再起不能にならない量」で買う

株式投資では、正しいと思っている投資行動をしても損をすることが日常的にあります。

パチスロ、麻雀など、ギャンブル要素のあるものをやったことがある人なら「期待値」という考え方に触れたことがある人も多いでしょう。

リターンを追求するには、「期待値が高い」行動を繰り返す必要があります。

株式投資における「期待値が高い」の考え方は、植木鉢の図の「経験・技術(土)」の部分なので、算出には様々な方法があります。

代表的なものは、PER等の指標から見て割安だと判断できる銘柄が、その割安さを解消してフェアバリュー(妥当な水準)まで値上がりするのを狙って投資する方法です。

この例の場合、「割安」な銘柄を見つけるための知識・経験・技術を身につけ、その銘柄が値上がりすると考えられる根拠があるのならば、「期待値が高い」として投資するのも有りでしょう。

しかし、サイコロを振って1が出る確率が1/6であっても6回に1回必ず1が出るわけではないのとイメージ的には近いですが、「期待値が高い」と判断できたからといってそのとおりに値上がりするとは限りません。

自分が正しいと思う投資をしていても損失を出すことがあるということを受け入れ、「期待値が高い」行動を繰り返すことができるように、「失敗しても再起不能にならない量」で買うことが重要です。株式市場は今日や明日になくなることはないのですから。

今回がダメだったなら、この経験を活かして次に再チャレンジすればいいのです。

同値撤退・損切り

株を買うということは、自分がその銘柄が上がると思っているということです。

この思考の中では、なるべく多くこの銘柄を買って持ち続けることが最適解に見えます。

では、この選択は本当に最適解なのでしょうか。

株価はあなたが買った場所が基準になることは当然ありません。

あなたが買ったその瞬間から大きく値下がりすることもあります。

上がると思って買った銘柄が上がらなかった場合、頭の中にその後の選択肢が準備されていないと、思考停止状態になり、何もできません。損失が膨らんできて初めて「やってしまった・・・」と気がつくこともしばしばです。

これを避けるために必要なのが、「同値撤退」または「損切り」です。

同値撤退
自分の買ったところから一度値上がりしたものの、その後自分が買ったところまで戻ってきてしまったときに、その価格で売ること

例:A株を1,200円で買い、A株は一時1,300円まで値上げしたものの、その後1,200円近くまで下がってきたため、1,200円で売る注文を出す。
損切り
損切りとは、自分が買ったところから値下がりしたとき、これ以上損失を広げないために株を売って損失を確定させることです。

例:B株を1,200円で買ったが、じわじわ下がり続けるため、1,100円を割ったら損失を確定させると決め、1,100円を切ったら売る注文を出す。
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株には買うべきときと控えるべきときがある

見出しにはこう書いたものの、一概に「こうなったら買い」などの基準があるわけではありません。

市場では、売りたい人と買いたい人の双方がいて初めて取引が成立するわけですから、誰かがある株を買うとき、その向こう側には必ず売りたい人がいます。

「ここで買ったら確実に勝てる」という基準が決まっているのなら、そんなときに売りたい人がいるはずはありませんよね。

「ここでは買い」、「ここでは売り」、と常にいろんな人が思っているから、取引がその価格で成立します。

ただ、相対的に「買うべきとき」、「買い控えるとき」ではないかと判断する材料はあります。

買うべきとき

相場全体が閑散としているとき

 売買があまり行われず、相場全体が値動きに乏しいときです。
 「閑散に売りなし」の格言のとおり、売りが枯れ、底打ちと考えた投資家がこの後買いに走るケースがあります。

指標などから見て理解不能な水準まで売られているとき

 相場が崩壊したとき、相場が急落していく恐怖は想像以上のものです。この結果、恐怖心から多くの人がなりふり構わず株を投げ売りし始めます。 
 売りが売りを呼ぶ展開が続くと、株価の水準を測る指標が理屈を説明できないほど割安になるシーンが訪れます。
 この場合では、本来なら下がる理由もない優良な株も一緒に売られるため、チャンスが到来したと考えてもいいでしょう。
 ただし、「資金管理」の考え方を忘れてはいけません。失敗の可能性も考慮した上で買うようにする必要があります。

買い控えるとき

相場全体に過熱感があるとき

 ほとんどの銘柄がイケイケで買われている、何でも上がる相場状況のときです。
 みんなが買うためこの時は上がっていますが、どんどん自分の後に買ってくれる(上値を追う)人が減っていくため、無理に上昇に付いていくのは危険です。
 「靴磨きの少年が株の話をし始めたら売り」という格言があるのもこれが基になっています。
 ただし、天井が近づくほど一日の上昇率が高く短期的に儲けやすくなるため、最後はチキンレース(誰が先に相場から降りるか)の様相を呈します。

世界的に大きな事件が起きているとき

 記憶に新しいところでいえば、2018年~2019年の制裁関税などによる米中貿易戦争、2020年のコロナ禍。
 もう少し遡れば、リーマンショックやチャイナショックなど、歴史に名を残す事件などが該当します。
 こうしたときはまず激しく下落し、その後はボラティリティ(価格変動)が大きくなるため、いつもの感覚で触ると上下に激しく揺さぶられて簡単に損をする相場つきになります。

常に全力で投資をするのではなく、買うべきときに資金管理をしながら買い、勝負する必要のないときは買い控えることが株で勝つための大事なポイントです。

まとめ

ここまでの内容を見ると、資金管理を重要視した株式投資は、冒頭に書いた「短期間で一気に儲かる」という世間のイメージが実現するような方法ではないということに気づくと思います。

全資金を一気に投入して莫大な利益を狙うということは、当たれば大きいですが、「正しいと思う投資行動をしても損失を出してしまうことがある」ことを踏まえれば、非常にリスクの高い行動であるということがわかります。

楽に儲けようと夢を見た結果、大きなリスクを取ったときに悪い目が出て資金を失ってしまう人が多いことが、株式投資がギャンブルといわれる所以です。

株式投資で勝つためには、「資金管理」がすべての基盤となる重要なポイントです。
色々な知識に触れていくうちに、お金が増える理屈が理解できるようになると思います。

ただ、それを踏まえて実践したことが必ずしも良い結果を生むわけではないので、「期待値の高い」行動を「失敗しても再起不能にならないポジションの張り方」で繰り返していくことをおすすめします。

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